株式投資を始めるために、証券口座を開設しようとしている初心者の方で、口座開設の審査に通るのか不安に感じている方もいるはずです。
このページでは、証券口座の審査とはどういうものなのか?
証券口座開設の審査についての疑問にお答えします。
このページを読んで、証券口座開設の審査の不安を解消してください。
証券口座開設の審査は何のためにあるのか?
株式投資をするための証券口座の開設には審査が必要です。その審査は何のためにあるかと言うと、主に次の3つのためです。
・インサイダー取引に関わらないことの確認
・日本証券業協会の規則
これらについて、説明していきます。
本人確認
証券口座や銀行口座の開設には、法律により本人確認が義務付けられています。その法律とは『犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)』になります。
これは、一般的にマネーロンダリングと呼ばれるものを防ぐ法律です。
例えば、犯罪者集団が組織的に活動するには多額の資金が必要になります。犯罪者が犯罪で得た資金『汚れたお金』をそのまま貯めていては、見つかりやすくてすぐに足がついてしまいます。
そのため、犯罪者集団はお金を洗浄しようと考えます。銀行口座や証券口座を使って資金を移動したり株の売買をしたりして資金を真っ当なものだと見せかけようとするわけです。そのお金の洗浄がマネーロンダリングになります。
つまり、証券口座を開設するには、このような犯罪に関わらないようにするために本人確認が義務づけられているというわけです。
また、株式投資は、配当を受け取ったり株の売買で得た利益に対する税金を支払ったりするため、本人確認は必須になります。
例えば、株主は株式会社から配当金(株式会社からの利益の還元)を受け取ります。そのために、株の購入者の住所はその会社の株主名簿に記載されます。
つまり、しっかりと配当金を受け取るためにも本人確認は必要なわけです。
しかし、本人確認は主に犯罪に関わらないように確認するためのものです。特に犯罪に関わらなければ、本人確認で不安になることはありません。
インサイダー取引に関わらないことの確認
インサイダー取引に関わらないことを示す必要があります。インサイダー取引は法律の『金融商品取引法』で規制されており、違反すると処罰の対象になります。
インサイダー取引とは、上場会社(株式の売買が株の取引所で出来る会社)の関係者やその関係者から会社の情報を得られる人間が、その情報を元に株の取引を優位に進めることです。
つまり、上場企業の内部情報を元にした株の取引をしないようにすれば、インサイダー取引には当たりません。
これは、項目がありますので、そこにチェックを入れて、インサイダー取引にはかからないことを示せば良いだけです。
例えば、マネックス証券の口座開設申し込み欄では、以下の場所にチェックを入れれば良いです。
インサイダー取引は犯罪です。絶対にしないようにしましょう。
日本証券業協会の規則
証券口座開設のための審査にあたり、職業や年収などを記載する箇所があります。その職業欄はしっかりと記入しなければなりません。
これらの個人情報の提示は日本証券業協会の規則により決まっています。そのため、この規則に従う必要があります。
例えば、岡三オンライン証券のQ&Aに、次の項目があります。
この要望に対する回答は以下のようになっています。
※明示いただけない場合は、口座開設を承ることができません。
とあります。
つまり、「職業」「年収」などの個人情報の明示は、規則で決まっていることになります。
それはなぜかというと、日本証券業協会に加入している金融商品取引業者(証券業、銀行業等)は、株式の上級者用の取引である信用取引や先物・オプション取引を禁止しています。
そのため、口座を開設する人は金融商品に関わりのある業者に勤務している人を除く必要があるわけです。ですから、職業を提示する必要があることになります。
しかし、これは金融商品の取引業者に勤務していなければ何の問題もありません。規則に従わなければ、口座の開設ができないのは仕方ないことでしょう。職業や年収は正直に記入しましょう。
口座開設の審査に関するよくある質問
証券口座の開設が初めての場合、審査に対する不安も多いかと思います。
審査に対するよくある質問に、以下のようなものがあります。
・職場に電話がかかってくることはありますか?
・審査に落ちることはありますか?
・審査が完了して、株の売買が出来るまでには何日かかる?
これら4つの質問にお答えします。
職業欄には何と書けば良いのか?
職業欄は先述のとおり、書かなくてはいけません(もしくは選ぶ)。普通に働いていれば、職業欄はすらっと書けるはずですが、無職や学生の場合はどうすれば良いのか迷う人もいます。
それは、無職や学生では収入がない、もしくは少ないのに、証券口座の開設の審査が通るのか不安になるからだと思います。
例えば、私の場合は『未上場会社職員』の項目があり、それに当てはまりました。そのため、『未上場会社職員』を選びました。
このように、普通に収入があるのならすんなりと選べますが、無職や主婦、学生などでは、審査に通るのか不安になるために、選べなくなるわけです。
しかし、無職や学生、主婦の場合でも、証券口座の開設の審査に落ちることはまずありません。ですから、安心して正直に選んでください。
マネックス証券の場合は、以下のように職業の項目が表示されます。そのため、その項目の中から、ご自身に当てはまる箇所を選ぶだけでOKです。
このような項目の中から、私は『未上場会社職員』を選びました。その他、『無職』や『学生』、『専業主婦』などあります。職業欄は正直に選ぶだけで大丈夫です。
職場に電話がかかってくることはありますか?
職業欄を選ぶと、次に勤め先の住所や電話番号も書かなくてはいけません。
勤め先の電話番号まで書くと、職場に電話がかかってくるのではないかと不安になる方もいるはずです。
しかし、審査のための電話は職場にはかかってきません。ですから安心して記入してください。
例えば、クレジットカードの申し込みでは審査で職場に在籍確認をします。それは、クレジットカード会社は申し込み者へお金を貸すからです。お金を貸すからにはしっかりと返してもらわなければなりません。そのため、しっかりと会社に在籍しているのかを確認するのは当たり前と言えます。
しかし、証券会社は株の売買をするところで、お金を貸したり貸したお金を回収したりする必要はありません。そのため、会社の在籍確認までする必要はないわけです。
株式取引の上級者が行う信用取引をするための信用口座を開設するには、電話で話をする必要があります。そのため、会社の在籍確認もあります。私は信用口座を開設するときには証券会社の人と電話のやりとりをしました。(現在は電話のやりとりをしなくても信用口座の開設ができるところもあるようです。)
信用取引は証拠金を入金して資金の3倍まで株を買うことができる仕組みの取引になります。そのため、信用取引はリスクが高く、入金した証拠金よりも損失が大きくなることもあります。その場合に証拠金を追加して入金しなければなりません。その催促が電話で来る場合もあるわけです。
ですから、信用取引の口座を開設するには、会社の在籍確認や証券会社の審査担当の人と、電話でのやりとりが必要になります。
しかし、普通の証券口座の開設で勤め先への在籍確認はありません。その点は安心してください。
審査に落ちることはあるのか?
証券口座の審査に落ちることはありません。先述の通り、普通の証券口座であれば、証券会社はお客へお金を貸すわけではありません。そのため、証券会社から見て顧客が口座開設をするリスクはほぼないわけです。
例えば、普通に主婦や無職の人や学生さん、未成年でも親の同意があれば、証券口座は開設できます。
証券口座の開設は、先述の信用取引の口座は審査で落ちることもあります。しかし、普通の証券口座の審査はまず通ります。ですから、安心して取引できるようになるのを待ちましょう。
審査の終了後、株の売買が出来るまでの日数は?
必要書類を提出して無事に審査が通ると、証券口座に入金をすることで、実際に株の売買が出来るようになります。その実際に株の売買が出来るまで、何日かかるのか気になる方も多いようです。
これは、証券会社によってバラバラですが、概ね2日〜1週間と考えておけば良いでしょう。
私の場合はクリック証券に口座を開設した時は書類が送られてきてすぐに返送をしたため、最初に口座開設の申請をしてから、5日ほどで実際に株の売買が出来るようになりました。
ただし、これはまだNISAの口座がなかった時代のことです。
NISAの口座を開設するにはもっと時間がかかるため注意が必要です。
NISA口座の審査には時間がかかる
NISA口座を開設するには、通常の証券口座より時間がかかります。概ね2〜8週間はかかると見ておいた方が良いでしょう。
NISAの口座は簡単に説明すると、預け入れた株式の売買益が非課税になる口座です。そのため、税務署の審査も必要なようです。そのようなこともあり、普通の口座を開設するよりも時間がかかることになります。
上記のように、NISA口座の開設には時間がかかります。そのため、急いで証券口座を開設して、すぐにでも株を保有したいと考えている方はNISAの口座開設は申し込みだけをしておくと良いでしょう。
普通の証券口座を開設して、普通の口座で株の取引をすることが、申し込みから株の売買が出来るようになるまでの一番早い方法になります。
ただし、普通の口座で株式の売買益を得た場合は税金がかかります。さらに、普通の口座からNISAの口座へ株式を移すことはできません。
そのため、どうしても、非課税で株の売買をしたい場合はNISAの口座待つしかありません。その場合は、証券会社によりまちまちですが、2〜8週間は待ちましょう。
まとめ
証券口座の開設に対する審査は初めての方であれば、不安はあるでしょう。しかし、普通の証券口座(上級者向けの信用口座は別)であれば、審査はまず通ることがご理解いただけたと思います。すんなりと審査を通すためにも、記載事項は正直に書くようにしてください。
そうすることで、普通の口座開設であれば、1週間以内に株の売買を出来るようになるはずです。
ただし、NISA口座を開設するには最大で2ヶ月ほどかかってしまうこともあるため、注意が必要です。
株の売買を今すぐにでも始めたいと考えている方は普通の証券口座を開設すると良いでしょう。NISA口座の方は申し込みだけしておきましょう。
株の長期保有にはNISA口座がオススメになります。買いたい株を見つける作業をしながら、NISA口座が開設されるのを気長に待つのもよろしいかと思います。