株の投資手法には「順張り」と「逆張り」があります。これは、簡単に説明すると株を買うタイミングを株価が高くなったとき(株が買われている)にするのか、株価が安くなったとき(株が売られている)にするのかの違いになります。
株の売買を「順張り」にするか「逆張り」にするかは、そのときどきの株式市場の動きによって良くも悪くもなります。そのため、株式の売買をしている者にとっては永遠のテーマと言えます。
ですから、「順張り」と「逆張り」については、株式投資初心者のうちから知っておいた方が良いでしょう。
このページでは、株の順張りと逆張りを詳しく解説します。
順張りとは相場の動きに合わせること
順張りの「順」は従うという意味です。そのため、相場の動きに従って張っていく(売買する)。これが、順張りになります。つまり、順張りとは株を買う場合は上昇トレンドのときに買っていくことになります。
例えば、図で表しますと下の図の通りになります。
このように、1年間上値を切り上げて上昇している株があります。このような株を買っていくことが、買いの順張りになるわけです。
買うタイミングとしては、今まで何回も上値を抑えられて抜けられなかった値を抜けたときや、上昇トレンドラインの下値になったときなどが挙げられます。先ほどの図で表すと下の図のとおりになります。
このように、株式相場の動きに合わせて「株が上がるから買う」「上昇トレンドの株を買う」これが、買いの順張りになります。
逆張りとは相場の動きに逆らうこと
一方、買いの逆張りは下降トレンドのときに買っていくことになります。順張りとは逆で、相場に逆らって買っていくわけです。図で表しますと下の図のとおりです。
このように、株価が下落しているときに買うことになります。
買うタイミングとしては、過去に1回、2回と下げ止まったことがある所や、株が大きく売られ過ぎているところで買うと良いでしょう。(大きく売られ過ぎているとは移動平均線(株価を平均して線で表したもの)から下方向に大きく乖離することで判断します。)
上記の図の買いタイミングでは、一度目は買った後に下に抜けてしまったため、損切りをした方が賢明です。二度目の買いの大きく売られたときの買いタイミングは絶好の買いタイミングになっています。
このように、「株が下がるから買う」「下落トレンドの株を買う」これが、買いの逆張りになります。
以上が、株の買いの「順張り」と「逆張り」になります。先述のとおり、順張りにするか逆張りにするかは株式の売買をしている者にとっては永遠のテーマと言えます。
それはどうしてかと申しますと、順張りでも逆張りでも株式相場の動きによっては有効にも無効にもなります。そのため、「今回の相場の動きでは順張りが良かったかもしれない」「やはり逆張りの方が良いのかも」などと常に考えてしまうものだからです。
それでは、株の買いの順張りと逆張りのメリットとデメリットを次から解説します。
買いの順張りのメリットとデメリット
メリット
買いの順張りのメリットは、先述のとおり相場の上昇トレンドで買います。相場の上昇トレンドでは上値をドンドンと買われて上がっていきます。出来高も増えています。そのため、「みんなで買えば怖くない」的な安心感があります。
具体的には下の図を見ていただければわかるように、株価が上に抜けて上がるときは出来高が増えています。
売る人が増えても、その売る人以上に買う人が多いわけです。買う人が多ければ、株価はさらに上がります。そして、買う人が増えてくるから自分の買った株(持株)も売ることができるわけです。
さらに、買いの順張りでは基本的に株価が上がっているときに買うため、目先すぐに利益が出やすいのも特徴です。
つまり、買いの順張りのメリットは主に2つになります。
・現に今、上昇している株を買うため買い安心感があること。
・株価が上がっている時に買うため、すぐに利益につながりやすいこと。
デメリット
買いの順張りのデメリットは、買ったところが天井であった場合です。株に上がり続ける株はありません。そのため、株を買ったところで上昇相場が終わってしまうことがあります。その場合、そこが株価の天井になります。
そこが株価の天井かどうかは、後になってみないとわかりません。そして、天井だった場合は損切りしなければ、損失が大きく膨らむ可能性が高くなります。
株は一度上昇相場が終わると下げるスピードは速くなりがちです。そのため、損切りをしっかりとしなければ一気に損失が拡大してしまう可能性があるわけです。
例えば、先述の上昇相場と下落相場で使った画像を見て見ます。
これを見てわかることがあります。それは、下落相場で7800円から4200円まで、下がる期間が約6ヶ月なのに対して、上昇相場で同じ7800円まで上がるのに約10ヶ月かかっていることです。
このように、相場には上がるのには時間がかかるけれど、下がるのには時間がかからない性質があります。
相場の格言に「天井三日、底百日」という言葉があります。
これは、天井である期間が短いことと、一度天井をつけたら次に上がるまでに時間がかかることを意味しています。そのため、買いの順張りで天井で買ってしまった場合は売り損なってしまうと、なかなか元の株価に戻ることはありません。
そのため、大きな損失を防ぐためにも損切りをしなければなりません。
株を買ったところが天井かどうかは、後になってみないとわからないこともあり、もし天井であった場合は、大きな損失になってしまうことは買いの順張りのデメリットと言えます。
買いの逆張りのメリットとデメリット
メリット
買いの逆張りは安いところで買います。そのため、株価の転換点(下落トレンドから上昇トレンドへ転換する場所)で株を買うことが出来たら利益が大きくなる可能性が高いです。
例えば、下の図のようなところで買うことは買いの逆張りになります。このようなところで買えると利益が大きくなります。
デメリット
デメリットは、買いの逆張りは株価が下がっている時に買います。そのため、株を買った後に利益が出ている時は一時的に株価が反発しているだけの可能性があります。
その場合、もう一度底値を下に抜けると下げが加速する可能性があります。そのため、利益を出すタイミングが難しいです。
買いの順張りの場合は、利益が出たらすぐに売ることは心理的に簡単です。なぜなら、株を高いところで買っているため、買ったところが天井の可能性があるからです。天井を掴むよりは利益が出ているところで売ってしまった方が良いと考えることができます。
しかし買いの逆張りの場合は、買ったところが大底の可能性があります。大底だった場合は長く株を保有することで利益が大きくなります。そのため、大きな利益になる可能性を捨てきれないわけです。
そのようなこともあり、一時的な株価の反発では利益確定ができないことがあります。せっかく、大底株を買えたかもしれないのに、少ない利益で済ますのは逆張りで買うメリットを逃してしまうことになるわけです。
短期売買にオススメなのは順張り
買いの順張りは順張りの性質から、短期売買に有効です。買いの順張りで利益を上げるには、高いところで買い高いところで売る必要があります。そのため、先ほどにもあったように株価はすでに高い位置にあることになります。
株価が高い位置にあるということは、そこが天井になる可能性もあるわけです。ですから、買って利益が出たらすぐに売ることが必要になります。つまり、順張りでは短期売買が有効になるわけです。
長期保有にオススメなのは逆張り
先述のとおり、買いの順張りは高いところで買います。そのため、利益が出たらすぐに利益確定しなければ、天井で買った場合損失が大きくなってしまいます。ですから、買いの順張りは短期売買になってしまうわけです。
一方買いの逆張りは、株をできるだけ安く買う必要があります。そして、安く買えた場合、株を長く持つことで利益が大きくなります。先述のとおり、下落より上昇の方が時間がかかります。そのため、利益を大きくするには長く株を保有する必要があるわけです。
つまり、買いの逆張りはできるだけ安く買い、できるだけ長く持つことで大きな利益が出るため長期保有が適しています。
株式投資の初心者にオススメなのは順張りの押し目買い
株式投資を初めたての頃は、相場の動きはよくわかりませんし、株の売買をどうしたら良いのかがよくわからないはずです。そのため、まずは株の動きに慣れるためにも株の売買に慣れる必要があります。
株の売買の経験を積むためには、短期売買で利益をあげてみることが良い経験になります。
ササッと、短期売買で利益を上げやすい「買いの順張り」で、株の売買をやってみることをオススメします。先述のとおり、順張りには目先すぐに利益になり易い傾向があります。そのため、株式投資の初心者でも株を買い易いはずです。
一方の逆張りの場合は、株が下がっているときに買うことになります。そのため、「これ以上下がるかもしれない」と恐怖心が出てしまうこともあります。そうなると初心者の方には買いにくいところでもあります。
そのため、初心者には買いの順張りの方が良いでしょう。
株を順張りで買った場合、株は一度上がり出すとそこから10〜20%は上がる可能性があります。その時をうまく捉えて、間の5〜10%の利益を取ってみると良いでしょう。
株価は上がって、調整(株価が下がるかある程度の時間が経過すること)した後にまた上がる傾向があります。その調整時に買うことが順張りの押し目買いになります。
例えば、下の図のように一度上がって行った後に下がってきたところが、押し目になります。
このような上昇トレンドの上に抜けた後の株価調整した後の買いが、順張りの押し目買いになります。これなら、5%くらいならすぐに利益をあげられます。
株式投資の初心者の場合は、まずは株の動きに慣れて、株を売買することにも慣れて、利益を出してみると良いでしょう。そのためには、順張りの押し目買いがオススメになります。
まとめ
順張りと逆張りは、株式投資をする者にとっては永遠のテーマと言えます。
順張りとは相場に従っていくことで、逆張りは相場に逆らうことになります。
つまり、上昇相場で株を買っていくことが順張りで、下落相場で株を買っていくことが逆張りです。
順張りと逆張りの特徴から、順張りは株の短期売買に向いています。一方逆張りは、株の長期保有に向いています。
そして、株の初心者の方にはまずは相場の動きに慣れたり利益をあげることに慣れたりする方が良いこともあり、順張りの押し目買いをオススメします。
まずは、株の順張りの押し目買いで、数%の利益をあげてみてください。それを繰り返すことにより、相場の動きに慣れてくるはずです。