株価の過去から現在までの動きを表しているチャートを「株価チャート」といいます。株価チャートにはさまざまな情報が含まれています。そして、証券会社にはその株価チャートを分析するツールがあるのです。
そのツールには、さまざまな分析機能がついています。その中でも、株価チャートに線を引く機能が役に立ちます。
このページでは、株価チャートへの線の引き方や使い方を解説します。線の引き方を覚えることにより、株を買うタイミングや損をした時に株を売る「損切り(ロスカット)」の方法がわかります。
株価チャートに線を引く方法を覚えて、株の売買で利益をあげてください。そして、損切りの方法を覚えて資産を守りましょう。
トレンドラインとは
株価の方向性を示す「株価トレンド」は3つあります。上昇トレンドと下落(下降)トレンドと横ばいトレンドです。それにより、株価は上に向かっているのか、下に向かっているのか、横ばいに進んでいるのかがわかります。実際のチャートで見てみると下の図のとおりです。
証券会社には、このような株価チャートを表示するツールがあります。そのツールの分析機能を使い、株価チャートに線を引きます。すると、トレンドラインが出来上がります。
具体的には、株価は上がったり下がったりと、山と谷を作りながら動いていきます。その株価の山と山の頂上を結びます。さらに、谷と谷の底を結びます。これにより、トレンドラインが出来るわけです。図で表すと下の図のとおりです。
トレンドラインを引くことで、株がどの価格帯で上値を抑えられているのか。また、どの価格帯で下値を支えられているのかがわかります。
それはまさに株価がトレンドラインによって抵抗を受けているようです。そのため、株価チャートに引いた線のことを総合的に「抵抗ライン」と呼ぶことがあります。
それでは、トレンドラインを詳しく見ていきます。
株価の行くてをはばむ上値抵抗線と下値支持線
先述のとおり、トレンドライン(抵抗ライン)により株価は抵抗を受けます。
株価が上昇中にトレンドラインに上値を抑えられて、抵抗にあう線のことを「上値抵抗線」といいます。反対に株価の下落中にトレンドラインに下値が支持され株価が下げ止まることがあります。この線を「下値支持線」といいます。
ここから、株価が横ばいに推移する「横ばいトレンド」のときを例にして、上値抵抗線と下値支持線のことを具体的に説明します。
株価は下落しているときに、より多くの人に買われることで下げ止まります。また、上昇中により多くの人に売られることで、株価の上昇が止まります。これを繰り返すことにより、いくつもの株価が止まるポイントが作り出されるわけです。
そのポイントとポイントを線で結ぶことにより、トレンドラインになります。そして、トレンドラインがあることで、株価の止まり目がわかります。それはまさに壁のようなもので、その壁は株価の行く手をはばむのです。
例えば、200円から上昇し始めた株があるとします。この株が、220円まで上がったところで止まりました。220円は、200円から買った人たちの利益が10%になる水準です。そのため、10%の利益で十分だと考えた人たちが株を売り始めた(利食いの売り)などの要因が考えられます。
そして、220円で利食いの売りで押された株が、また200円まで下がって来ました。そして、200円で株価は下げ止まりました。先ほどの200円から上昇して行ったときに買えなかった人たちが、買い出したためなどと考えられます。
さらに、その株の動きを見た人たちに「200円以下にはなりそうもない」と考える人がいます。そのため、201、202円と株を買い上がることにより、再び220円まで株価は上がって来ました。
そこで、今度は前回220円で売り損ねた人たちの利益確定の売りがでたり、前回220円近辺で買ってしまった人たちの戻り売り(一時は損失が出ていた人たちが株価が戻ってくれたことから損をしない程度に売ってしまおうと考える売り)が出たりします。
このことにより、220円近辺の株価は先ほどより重たく感じるようになりました。
そのため、株価はまたもや220円を超えることはありませんでした。そして再度、株価は下がることになるわけです。
このようなときに、200円の底と底を線で結んだものが下値支持線として機能します。さらに、220円の上値と上値を結んだ線が上値抵抗線として機能します。これらの線をトレンドライン(抵抗ライン)というわけです。
この例は横ばいに推移していることから、横ばいトレンドのトレンドラインとなります。図で表すと下の図のとおりです。
このようにして出来たトレンドライン(抵抗ライン)は、上値抵抗線や下値支持線として、これより後の株価に影響を与えることになります。
株を買うタイミングと損切りのタイミング
先述のとおり、トレンドラインの上値抵抗線と下値支持線により、株価が抵抗を受けます。そのため、株価がどこで止まるのか、どこから動き出すのかがわかるようになります。このことから、株を「いつ」「いくら」で、買うのか判断ができるのです。
また、株価は下値支持線を下に抜くことで、株価に支えがなくなります。そのため、株価は下落に拍車がかかることがあります。そうなる前に、損切りをした方が大きな損失を防げるわけです。つまり、下値支持線を割ってきたところは損切りをした方が良いと判断ができます。
まずは、株を買うタイミングを解説します。
例えば、上昇トレンドを形成中の株があります。1回、2回と株が下げ止まったことで、2点の底が出来たとします。その2点を結ぶことで、トレンドラインの下値支持線を引けます。下の図のとおりです。
その後、株価が推移していき次に下値支持線に近づいて来て3回目が機能したときは買いのタイミングとなります。
図で見ると下の図のとおりです。
このように、2点の底ができた後に、3回目の下値支持線が機能したことで、株を買います。この図にある上昇トレンド転換の可能性が出た後すぐの、下値支持線は少し微妙な感じもします。
しかし、この後の次の株価が下値を切り下げて来たときに引けるトレンドラインの下値支持線は3回目、4回目も機能しています。そのため、買うタイミングとしてバッチリです。図でみると、下の図の時です。
このように、買いのタイミングは1回2回と下値を確かめたあとが成功の確率が高いです。
次に株を買って損失が出た時に売ってしまうことを損切り(ロスカット)と言います。その損切りのタイミングも見てみます。
下値支持線を株価が割ってくると、株価はそこからさらに下落していく可能性が高くなります。そのため、下値支持線を割ると、損切りをした方が良いと判断できます。このことから、損切りのポイントにもなるわけです。
上記2つの図の買いタイミングの損切りポイントは、直近の安値や下値支持線を割って来た時が良いでしょう。まずは、1つ目の図の損切りポイントは下の図のようになります。
このように、損切りポイントとしては買いポイント直近の安値や下値支持線を割って来た時がいいでしょう。この場合、株価は上値抵抗線まで上がっています。利益確定はこの上値抵抗線近辺の値段か、下値支持線を割って来たところでもわずかながら利益が出せたはずです。
2つ目の図の損切りポイントも見てみます。下の図のとおりです。
このように、株を買うタイミングの直近の安値は損切りのポイントとなります。安値を下回って来ることで、下降トレンドに転換の可能性が出て来るためです。
また、利益は伸ばせる時は伸ばした方がよいです。そのため、上値抵抗線近辺で利益確定の売りをしてもよいですが、そのまま株を持ち続けても良いでしょう。
株価チャートに線を引かないとどうなるのか
私は株式投資の初心者の頃はなんとなく株価チャートを見ていたものですから、この抵抗ラインのことを知りませんでした。あるとき読んだ株の本に抵抗ラインのことが買いてあり知りました。
それ以降、株価チャートに線を引くことで、株を買うタイミングや損切りのタイミングがわかるようになりました。
特に下値支持線があることで、株価が下げ止まる可能性の高いところがわかることが大きい収穫でした。これにより、株を買うタイミングが明確になりました。
さらに、株価が下値支持線を割ることにより、相場が崩れて株式市場が下落トレンドに入ったかもしれないと考えることができるようになりました。
株価が下値支持線を割ったあとに、株価が戻っても今の上昇は戻りであるから、「戻り売りが出るな」と、考えられるようになったわけです。下の図のようなときです。
このように考えることにより、もしこの時に株を持っていたら少しでも利益が出ているときに売ることができます。そして、株を持っていないときは、見送る判断ができるわけです。
さらに、株は上がるのはゆっくりですが、下がるのは速い習性があります。重要な抵抗ラインを割るとどんどんと株価は下落いくことがあります。そのため、抵抗ラインを割ったときは損切りをしなければなりません。
先述のとおり、抵抗ラインを引くようになってからは、損切りのポイントもわかるようになりました。そして、そこを割ったら損切りをして、また次のタイミングを待つようになりました。
つまり、株価チャートに線を引かずに抵抗ラインのことも知らなかったときは、次のような状態でした。
どこで株を買ったら良いのかわからない。
損切りをどこですれば良いのかわからない。わからないから、損切りができずに、
損が膨らみ売ることもできないまま塩漬け株(損をしたまま長い間株を持ち続けること)にしてしまうことがありました。
持ち株を塩漬け株にしてしまうと、長い間資金を眠らせてしまうことになります。そのため、せっかくの株式投資へ投じた資金が無駄になってしまいます。
前者の、「どこで買ったら良いのかわからない」というのは、まだ良いのです。上昇トレンドではどこで株を買っても、上昇中であることから、株を持っていれば利益はでます。
それよりも重要なことは、相場が崩れて、「下落トレンドになったかもしれない」と
考えることが出来るようになったことです。
このような、株価が重要な下値支持線を割ることによる損切りは、特に重要です。損切りの場所はしっかりと、あらかじめ決めておかなければなりません。
株価チャートにラインを引くことで、損切りの場所はあらかじめ決めておくことができるというわけです。
損切り(ロスカット)の重要性
重要なことなので、再度損切り(ロスカット)について、お伝えします。
先述のとおり、損切りをしなければ大きな損をしてしまうことがあります。そして、塩漬け株のように資金を活用できない状態で長い時間が過ぎてしまうわけです。
例えば、2000年のITバブルと言われた当時、40万円ほどで買った株を損切りしないで、持っていたことがあります。詳細は忘れてしまいましたが、インプレス株でした。
インプレス株を買ったあと、2000年にITバブルが崩壊しました。そのため、それ以後株価は全く回復することはありませんでした。確か10万円以下になったと思います。
10数年間たった今でも、株価の回復は無いです。もし、今まで持っていて売ったとしても2〜3万円ほどしかならないようです。このようにならないためにも、損切りはとても重要です。
相場はある日突如として、誰にも見向きもされずに、ただ、売られるだけの状態がおとづれます。長い下落トレンドの状態です。
そうなると、どこで下げ止まるかもわからないことになります。もし、そのような状態のときに株を持っていると本当に大変な思いをします。ときには恐怖すら感じます。
株価が下値支持線を超えて、損切りをした後に、すぐに上昇して勢いよく上がっていく「ダマシ」もよくあります。そのため、損切りをしたあとに悔しい思いをすることもあります。しかし、大きな損をしないことの方が重要です。しっかりと損切りをして、資金を残すことが重要なのです。
資金を残すことにより、また株の売買はできます。しかし、資金がなくなると株の売買自体ができなくなってしまいます。
できるだけ資金を残すことを考えるようにしてください。
まとめ
株価チャートにトレンドラインを引くことで、株価の方向性と株を買うポイントや損切りのポイントをどこにすれば良いのか判断ができるようになったことでしょう。
うまく線を引けないこともあります。また、下値支持線を割ったから、損切りをしたけど、すぐに株価は元に戻って来て、さらに上昇していくこともあります。
しかし、株は損をしないことの方が重要です。
うまく線を引けないで、株の買い時がわからないときは、お休みをすれば良いです。また、損切りしたけど株価は上昇していったとしても、次のチャンスを待てば良いわけです。
相場はいつでもあります。そのため、株式市場で利益を上げるチャンスはいつでもあるのです。ですから、資金があればまたチャンスは来ます。資金を残すためにも、損切りをしっかりとしていきましょう。