証券会社の口座を開こうと考えた株式投資初心者の方で、「口座の種類がいくつかあってどうすれば良いのかわからない」と、思う方もいるはずです。
このページでは、証券会社の口座の種類を解説します。口座の特徴を理解していないと知らないうちに損をしてしまう可能性があります。しっかりと口座の特徴を理解して、あなたにとって有利な口座を開いて活用してください。
口座の種類は3種類
証券会社の口座の種類には3つあります。それは次の3つです。
一般口座
特定口座(源泉徴収あり、源泉徴収なし)
NISA
この中で、基本的な口座は「一般口座」と「特定口座」になります。
そのためまずは、証券会社に口座を開くときに、「一般口座」か「特定口座の源泉徴収あり」「特定口座の源泉徴収なし」から選ぶことになります。
そこからさらに、株や投資信託の利益や配当金に対する税金が無くなるNISAの口座を使いたい場合は、NISAの口座を開くわけです。ですから、NISAの口座は基本の口座とは別物だと考えてください。
NISAの口座では取引金額が年間で120万円までと決まっています。さらに株の最長保有は5年間です。そのため、その金額や期間を超えた分は、最初に選んだ一般口座か特定口座を利用することになります。つまりNISAの口座は期間限定の口座であるわけです。
このことから、このページでは一般口座と特定口座について解説します。
NISA口座は別物と考えて、別のページで解説します。ここでは、NISA口座は株の売買の利益に対する税金が非課税になるということだけ覚えておいてください。
NISA口座についての記事はこちら ↓ ↓ ↓
口座選びのポイントは
口座選びのポイントとして各口座の違いをお伝えします。それは、税金の払い方と確定申告の仕方(株の取引報告書)の違いになります。
具体的には、株の利益に対する税金を自分で納めるのか、証券会社が代行してくれるのか。株の取引報告書を自分で記録して用意するのか、証券会社が代行してくれるのか。この違いになります。
それでは、一般口座と特定口座の2つの口座を詳しくみていきます。
一般口座は株の記録は自分でつけるだから勉強にもなる
一般口座では、株式投資に関する確定申告を自分でする必要があります。そして、年間で株の利益が出た場合は、税金を自分で銀行などの金融機関へ払い込む必要があります。
また、年間で株の売買で損失を出した場合は損失を3年間繰り越すことができます。その繰越損失分も取引報告書を用意して、確定申告で株の損失を繰越す必要があります。
損失を繰り越すことで、翌年以降に利益が出た場合はその利益の出た年と過去の年の損失を通算できます。そのため、税金を抑えることができるわけです。
この、株の売買をして損益の報告をする書類が1年間の「取引報告書」になります。一般口座では、確定申告のために必要な取引報告書を、自分で用意する必要があるわけです。
具体的には、株の売買で年間の利益が20万円以上になった場合(注意:給与などをもらっているサラリーマンなどの場合)は、利益額を算出して納税額を計算して銀行などの金融機関で税金を支払います。
確定申告のための書類は、以下のような国税庁のホームページで、割と簡単に作成できてしまいます。そのため、実は私は一般口座を使っています。そして、自分で確定申告をしています。
このような画面で、自分がどのような状態なのかの質問に答えながら入力画面に必要事項を入力していくわけです。意外と簡単にできます。
私は短期売買を繰り返していたころは、年間の売買が200回を超えました。それでも、株の売買の記録をつけることは苦になりませんでした。
株の記録を自分でつけることは意外に楽しいのです。しかも、記録をつけることで株の売買の振り返りができます。それは、反省点などを踏まえた勉強になるわけです。
株で利益を出している人に売買記録をつけている人は多いです。株式投資で利益を出した人の本を読むと売買記録は付けましょうと書いている人もいます。株の売買記録を自分でつけることで、何か見えてくるものがあるはずです。
そこで、一般口座は次のような方に向いています。1年間の株の売買記録をつけることが苦にならない人。確定申告を自分で済ませて、銀行などに払い込みにいける人です。
例えば、株の売買の記録は下の写真のようなメモを取っておきます。
このような株の売買の記録をつけておきます。そして、1年間の売買が終わったところで、すべての売買を計算します。合計の損益やかかった手数料をまとめるわけです。このようにまとめたものが、年間の取引報告書になります。
「株の売買記録は自分でつけてみたい!」と思った方は、一般口座で良いでしょう。是非、やってみてください。自分なりに株の売買で見えてくるものがあるはずです。
特定口座(源泉徴収あり、源泉徴収なし)
特定口座は先述した年間の取引報告書を、証券会社が作成してくれる口座になります。そのため、自分で取引報告書を用意する必要はありません。そして、特定口座は源泉徴収ありと源泉徴収なしに分かれています。
源泉徴収とは、自分が払いに行くべき税金を第3者が自分の利益から税金を徴収して支払いを済ませてくれることです。
例えば、銀行の預金には利息が付きます。預金通帳を見ると、たまに利息がついていることがあるのではないでしょうか?
その利息は税金が引かれた分が記載されています。その税金の分は銀行が差し引き、納税を代わりにしてくれているわけです。そのため、自分で確定申告しないで済みますし、払い込みに行かないで済みます。
このように、自分が出した利益から税金の徴収をしてもらい、代わりに納税まで済ませてくれる仕組みが源泉徴収です。
つまり、特定口座の源泉徴収ありの場合は、株の売買をして利益が出た場合は証券会社が利益から税金分を徴収してくれるわけです。
例えば、2017年現在で株の利益には20.315%の税金がかかります。そのため、株を売って利益が10万円出たとします。「100000円×0.20315=20315円」で20315円が10万円の利益から引かれるわけです。要するに、株の売値から証券会社に支払う手数料と税金分の20315円が引かれた残金が、特定口座に戻されることになります。
そして、特定口座の源泉徴収なしの場合は、株の売買で利益が出た場合でもその時に税金は徴収されません。そのため、利益分がまるまる口座に残るわけです。
この源泉徴収なしの口座の場合は、源泉徴収ありの口座と違いすぐには税金は徴収されません。そのため、確定申告が必要になります。つまり、取引報告書は証券会社が用意してくれるけど、それを元に確定申告は自分で済ませるというわけです。
源泉徴収ありの場合のデメリットは主に2つある
特定口座の源泉徴収ありの口座の場合、取引報告書も税金を納めることも証券会社がしてくれます。そのため「1番便利だし源泉徴収ありの特定口座が良い」と思うかもしれません。
実際に80%の人が選ぶ口座は特定口座の源泉徴収ありというデータもあるほどです。
ただし、特定口座の源泉徴収ありの口座の場合はデメリットが2つほどあります。1つは税金分のお金を再投資に利用できないことです。2つ目は株の利益は20万円以下であれば納める必要はないわけですが、その場合でも税金を納めてしまうことになります。
この2つの場合を詳しく見ていきます。
税金分を再投資に利用できない。
源泉徴収ありの口座の方は株の売却で利益が出たら、すぐに税金分が徴収されてしまいます。そのため、その税金分を再投資に利用できません。
先述の例と同じだとすると、10万円の利益から20315円がすぐに徴収されてしまいます。20315円くらいだと、まだそれほど影響はありませんが、この金額が積もることにより、再投資の金額に影響が出るわけです。
例えば、100万円の投資に対して、年の前半の段階で50万円の利益が出ていたとします。その場合、税金は「500000円×0.20315=101575円」で101575円になります。年の前半で、101575円引かれることにより、この分は投資に使えないことになります。
源泉徴収なしならば、確定申告の時に税金を払います。そのため、株の売却で利益を出しても税金はすぐには徴収されていないわけです。そのため、100万円で50万円の利益が出ていたとしたら、150万円から売買手数料を引いた分が口座に残るはずです。
しかし、源泉徴収ありの場合、150万円から101575円と売買手数料を引かれていることになります。そのため、140万円弱しか口座にありません。年後半の元金として差が出てしまうことになります。
これが、資金1000万円まで増えてくると、100万円だったら10万円の差だったのが、1000万円だと100万円の差になってくるわけです。
株で利益を出して元金が増えるほど、この税金分の再投資の影響は大きくなってきます。そのため、このことは気にかけた方が良いと言えます。
払う必要のない税金を払ってしまう。
2つ目のデメリットは、株の利益が年間で20万円以下の場合は本来は税金を払う必要はありません。
しかし、特定口座の源泉徴収ありの場合は、株を売却して利益が出たときにすぐに税金を徴収されてしまいます。そのため、株の利益が20万円以下で本来は払う必要のない税金を払うことになります。
例えば、年間に株の利益が18万円でたとします。その場合「180000×0.20315=36567円」で、36567円になります。この金額はすでに株の売却時に証券会社にひかれているわけです。
しかし本来は、年間の利益額が20万円以下であることから、払わなくて良いお金になります。しかも、このお金はあとから確定申告をして還付をしてもらうことなどできないことになっています。そのため、年に最大で4万円ほどは払わなくて良い税金を払う可能性があるわけです。
ここまでのことから、特定口座は次のような方に向いています。
株の取引報告書を記録していくことが面倒くさかったり苦手だったりする人。
そして、源泉徴収ありを選ぶのに向いている方は、確定申告も面倒くさいし再投資の資金が少なくても平気な人になります。さらに、利益が20万円以下の時に多少の税金は多めに払っても良いと思える方に向いています。
ただし、株の利益を確実に20万円以上出せば良いわけでもあります。
源泉徴収なしの方は、確定申告は自分ですることになります。そのため、確定申告をして銀行に払い込みに行くことができる方。株の利益から再投資に使えるお金は極限まで使いたいと考える方が源泉徴収なしの口座にすると良いでしょう。
ここまでの口座の特徴を表でまとめると下の図のようになります。
まとめ
証券会社の基本的な口座の種類についてお伝えしました。まずは、一般口座か特定口座の源泉徴収ありか源泉徴収なしかの口座を選んでください。
ポイントは年間の取引報告書を自分で用意するのか、証券会社に用意してもらうのかになります。
また、確定申告を自分でするのか、確定申告も面倒くさいからやらない方がいいのかになります。
株の利益分の税金を年内は再投資に使いたい方や、株の利益が年間20万円以下の場合の納めなくて良い税金まで納めるのが嫌な方は、特定口座の源泉徴収なしを選んでください。
そして、冒頭にお伝えしたNISAの口座は税金がかかりません。そのため、株の長期保有にはかなり有利な口座になります。
NISAの口座については ↓ ↓ ↓ こちらの記事を参考にしてください。