株の長期投資を始めようとして、買いたい株を見つけても、すぐに買ってはいけません。
なぜなら、その株はものすごく割高かもしれないからです。
割高な状態とは、通常の値段よりも高い値段のことです。あなたは普段、何か買い物をするときは、出来るだけ安いものを買うはずです。しかし、株の場合、割高でも買ってしまう人が多いのです。
それは、特に株式投資初心者の場合は、株の値段の判断基準がわからないため、株を割高でも買ってしまうわけです。そこで、株式市場が低迷すると、思いの外株価が下がってしまい、塩漬け株(損失の状態でずっと持っている株)にしてしまうか、損切り(株を売って損失を確定させること)をして、株を手放してしまうことになってしまいます。
そのようなことにならないためにも、特に株の長期投資では、割高のときに買ってはいけません。
株が割高なのか割安なのかを知るためには、PER(ぴーいーあーる)やPBR(ぴーびーあーる)という指標が参考になります。
PERとPBRを参考にして、長期保有する株を決めることで、株の長期投資のリスクを減らせることになるわけです。
このページでは、株の割安度がわかる指標の『PER』と『PBR』について、解説します。
この指標を活用して、株を割安な(割高ではない)ときに買って長期保有をしましょう。
株の割安度を知るにはPERとPBRをみる
冒頭でお伝えしたとおり、業績が良くて将来に期待できる株をみつけても、すぐに買ってはいけません。なぜなら、その株が割高かもしれないからです。少しだけ割高というならまだしも、時にはバブルな状態になり、ものすごく割高になっている株もあります。
そのようなときに株を買ってしまうと、バブルの終焉とともに株価は思いもよらないほど、一気に下がってしまうのです。そのような、割高な株をすぐに買ってしまわないように、株が割高なのか割安なのかをチェックする必要があるわけです。
株の割安度を知るには、PERとPBRを調べます。PERとPBRは、今の株価が割安なのか割高なのかがわかる指標になります。
PERは、会社の利益に対して、今の株価が割安なのか割高なのかがわかります。一方PBRは会社の資産に対して今の株価が割安なのか、割高なのかがわかります。
つまり、PERとPBRは企業の利益と資産の視点から、今の株価が割安なのか割高なのかを判断できるわけです。
こちらのふたつの指標『PER』と『PBR』を、詳しく見ていきましょう。
PERとは
先述のとおり、『PER』とは会社の利益に対して、今の株価が割安なのか割高なのかがわかる指標になります。日本語だと『株価収益率』といいます。
PER=株価収益率
PERの意味
PERは、「10倍、20倍」のように表します。
その意味は、PERが10倍の場合、今の株価がその会社の1年の利益の10倍まで買われていると言う意味になります。また、この数値が低いほど、割安という意味です。
例えば、この1年間の当期純利益(この1年で最終的に出た利益)が1,000万円の企業があったとします。この企業の株の時価総額(株価×株の発行済み枚数)が1億円であれば、株が利益の10倍まで買われていることになり、PERは10倍になります。
このように、PERの意味は今の株価が今期の利益の〇倍まで買われているという意味になるわけです。
つまり、PERが高ければ、「今の会社の利益にしては、株価が高すぎるよ!」となりますし、PERが低ければ、「これだけ利益があるのに、こんなに株価が安いのか!!」となるわけです。
株価の高い安いとの違いは
株価も高くなったり安くなったりします。そのため、株価の高い安いのと、どう違うのかと思う人もいるでしょう。
先述のとおり、PERは企業の利益に対して今の株価が割安か割高なのかをみます。そのため、利益が多ければ多いほど、PERは低くなります。
つまり、同じ株価であっても、より稼いでいる企業の方が、PERは低くなり割安になるわけです。
例えば、同じ株価500円の『会社A』と『会社B』があるとします。会社Aは利益500万円で、会社Bは利益1,000万円で会社Bの方が2倍稼いでいます。その場合、会社Bの方がPERは低くなり、会社Aの2分の1のPERになります。
このように、同じ株価であっても、利益が多い企業の方がPERは低くなるわけです。利益によって、算出されるところが、株価の高い安いとの違いになります。
PERの算出の仕方
PERの算出の仕方は、2通りあります。以下の2つの計算式で求められます。
① 株価÷EPS(一株あたり純利益)
② 時価総額÷純利益
①PER=株価÷EPS(一株あたり純利益)
1つ目の計算式は以下のとおりです。
EPSとは、『一株あたりの純利益』のことで、『当期純利益÷発行済み株式数』で求めます。
例えば、当期純利益が100万円で、株式の発行枚数が10万株だとすると、EPS(一株あたりの純利益)は10円になります。
計算式 100万÷10万枚=10(円) EPS=10円
このEPSを元に、株価が100円の銘柄のPERを計算すると、PERは10倍になるわけです。
計算式 100円÷10円=10(倍) PER=10倍
図で表すと、次のとおりになります。
以上が、1つ目のPERの算出方法になります。
②PER=時価総額÷純利益
2つ目の計算式は以下のとおりです。
時価総額は、『株価×株の発行済株式数』で求めます。
例えば、先ほどの例と同じく株価100円で、株の発行済みの株式数が10万枚だとすると、時価総額は1,000万円になります。
計算式 100円×10万枚=1000(万円) 時価総額=1000万円
この時価総額を元に、純利益が100万円の銘柄のPERを計算すると、PERは同じく10倍になるわけです。
計算式 1,000万円÷100万円=10(倍) PER=10倍
以上が、2つのPERの算出方法になります。
PERは雑誌に載っていることもありますが、それは、今現在の時価で計算されている数値ではありません。そのため、今の株価から、すぐにPERを計算できるくらいにならなければ、割安のときに株を見逃してしまうかもしれません。
株が割安のときが来たら、すぐに見分けられるように、PERはサッと計算できるようになりましょう。
PERの目安は15〜20倍
PERの目安としては、15倍がひとつの目安になります。ただし、業種によっても異なりますし、グロース(成長)株はPERが割高になります。そのため、一概にひとくくりにはできません。
日経平均(上場している株から225銘柄を選出して平均した値)もPERで表すことがあり、2018年現在はPER12~13倍で、ここ数年は11~22倍の間で推移しています。
このあたりの『PER15~20倍』がひとつの目安といえるでしょう。
これにより、PER10倍以下は割安でPER25~30倍を超えてくると割高となります。
PERの傾向は
PERの傾向として、先述のとおり業種によりことなることが挙げられます。
今後も大きく発展する業界のPERは高めになり、成熟している業界や、電気やガスなどのディフェンシブな銘柄は低めになります。
PERが『高い傾向にある業種』と、『低い傾向にある業種』をまとめると、次の表のとおりになります。
PERが比較的高めに推移する業種 | 食料品、医学品、小売、サービス |
---|---|
PERが比較的低めに推移する業種 | 建設、化学、鉄鋼、電気・ガス、銀行、証券 |
また、グロース(成長)株のPERは、高めで推移する傾向があります。成長への期待が高く、常に買われている状態が続くからです。
ときには行き過ぎて、高くなりすぎたり安くなりすぎたりする
ときには株価が上がりすぎたり、下がりすぎたりします。そのため、PERも上がりすぎたり下がりすぎたりします。先述のとおり、グロース株は高くなる傾向があり、時にはPER何千倍にもなり、株が買われ過ぎることがあります。(ヤフー株のPER4,000倍など)
また、株式市場の低迷時には、業績の良い株もPER5〜10倍以下にまでなってしまうこともあります。
このように、PERには傾向があり、業種によっても異なりますし、株価もPERも株式市場や世界情勢によっては、高くなり過ぎたり安くなりすぎたりするわけです。
私は、PER100倍以上になると、グロース株でも高すぎると判断をします。そのため、PER100倍を超える株には手を出しません。その企業の業績がもっと上がってPERが下がるか、株価と共にPERが下がるのを待ちます。せめて、PER30倍以下にはなってから買いたいです。
このように、PERは株価と同様に、ときには行きすぎて高くなり過ぎたり安くなり過ぎることがあります。
高くなり過ぎた時には手を出さず、安くなり過ぎたときには、大いに買っていくことが、長期投資には大事だとといえます。
PERの使い方
PERの使い方に関しては、さまざまありますが、ここでは、『バリュー(割安)株投資』と『グロース(成長)株投資』におけるPERの使い方について説明します。
PERの使い方は、バリュー株投資とグロース株投資では基準を変える必要があります。なぜなら、先述のとおり、グロース株はPERが高めで推移する可能性があるからです。特に企業がグングンと一番成長する時期こそ、そのようになる傾向があるわけです。
そのため、バリュー株とグロース株のPERの基準値を同じに考えていたら、グロース株はいつまでたっても買う機会がなくなることになります。そうならないためにも、バリュー株投資とグロース株投資のPERの基準値は変える必要があります。
バリュー(割安)株投資でのPERの使い方
先述したとおり、PERのひとつの目安が15倍で、10倍以下は割安といえます。そのため、PERが10倍以下になったら買い時といえます。
ただし、これは主に『割安株投資』の場合に使います。
さらに、ただそれだけで判断してはいけません。
PERが低すぎるのには、何か理由がある可能性があります。
例えば、業績が赤字であるとか、財務状態が悪いとか、将来性に期待が持てないなど、様々な理由があるでしょう。
そのような銘柄は、将来性に期待ができないため株が売られているだけなので、PERが低くなることは当たり前と言えます。
このような銘柄を買わないためにも、業績や財務状態などもチェックをして、それでもPERが割安であれば、自信を持って買っていきましょう。
ここからは、具体例として、PERを用いりながら銘柄を分析していきます。
割安株として、『7940 ウェーブロックホールディングス』を見てみます。
7940 ウェーブロックホールディングス
ここで、2019年3月の利益予想に対するPER見ると、『5.12倍』と低く割安といえます。
先述した、PERの傾向で、化学のPERは割安の部類に入りますが、それを考慮しても、ROE16%ある銘柄にしては割安過ぎといえるでしょう。
ただし、会社のホームページへ行き、直近の第2四半期の決算資料から進捗を見ると、来期の予想一株利益 『160.9円』に対して、第2四半期で約80円となっています。
これは上半期で丁度半分なので、予想通りに進んでいるといえます。そのため、割安といえるでしょう。
いや、「ちょ、まーてーよ!」
前期(一年前)の第2四半期の一株当たり利益が『97.36円』で、前期1年の一株当たり利益が『161.52円』ということは、前期では、後半の半年で、一株当たり利益『64.16円』しか稼いでいないということです。
計算式 161.52-97.36=64.16(円)
つまり、今期の後半の一株当たりの利益も『64.16円』くらいだとすると、今期の上半期の一株当たり利益『約80円』に『64.16円』を足した、『144円』くらいまでしか、来期の一株当たり利益が届かないとも考えられます。
来期の予想一株利益が『160.9円』になっていることから、これでは、次の決算では下方修正の懸念もありますね。その辺りも考慮したほうが良さそうです。
さらに、チャートを見てみます。
2017年4月の上場来安値が近いこともあり、この辺りの『650~700円』は底堅いといえます。長期的にみれば割安株として買っていくには良いところに来ているといえます。
7940 ウェーブロックホールディングス(2018年11月20日の分析)
評価 | 備考 | |
---|---|---|
株価 | 819円 | 上場来安値の『650~700円』は底堅そう |
PER(予) | 〇 | 5.12倍 |
業績推移 | ◎ | 増益 |
ROE | ◎ | 16倍 |
ROA | △ | 5.47% |
自己資本比率 | 〇 | 35.8% |
成長性 | △ | 低め(下方修正の可能性もあり) |
このように、割安株へのPERの使い方としては、PER10倍以下の銘柄を、PER以外のところもチェックして、総合的に判断していきます。
7940 ウェーブロックホールディングスは、総合的には割安株として良さそうです。しかし、成長性が低めなのと、下方修正の可能性も考えると、今の株価から1~2割くらいを引いて考えても良いかもしれません。
そうなりと、やはり、上場来安値の650~700円があれば割安株としての買い時として、ちょうどいいのかもしれません。
この銘柄は、資金に余裕があるのであれば、割安株として買っても良さそうな銘柄ですね。資金があまり余裕がない人は、他にも良い銘柄がありますので、他の銘柄を買うほうが賢明といえます。
さて、割安株はリスクの少ない長期投資としては有効です。しかし、当サイトでは成長株が割安なとき(割高過ぎないとき)に株を買うほうが、株の長期保有で儲けをたくさん出しやすいと考えています。
次は、グロース株投資でのPERの使い方を見ていきましょう。
グロース(成長)株投資でのPERの使い方
グロース株投資では、将来有望な成長株を選びます。そのような成長株は、割安株のようにPER10倍までは下がらないことが多いです。そのため、グロース(成長)株投資の場合は、企業の成長具合も加味して、PER20〜30倍台くらいで、株の買いを検討します。
増益率が20%ある成長株は4年でPERは半分下がる
成長株は、現状PERが割高だとしても、今後、純利益が2倍になることで、PERは半分まで下がります。
そのため、早目に純利益が2倍になる株を選べば、PERは15倍と同じようなものと言えます。それでは、どのような成長株を選べば良いのかというと、毎年の増益率が20%ある成長株になります。それなら、4年でPERは半分になるわけです。
つまり、増益率が20%ある株を選べば、今の株価で現状のPERが30倍だとしても、4年後にはPER15倍になり、割高なPERは気にならない水準になるわけです。
例えば、『純利益1,000万円』で『PER30倍』の企業があるとします。その企業の純利益が毎年20%増益で推移するとします。その場合、1年後の純利益は1,200万円で、PERは25倍になります。
計算式 1,000(万円)×1.2=1,200(万円)
2年後3年後と、順調に増益率20%で推移すると、4年後には『純利益2073万円』『PER14.47倍』になるります。
このように、4年間順調に増益が続けば、現在の株価は適正水準のPER15倍に近づくことになるため、損はしないというわけです。もちろん、その後も成長性が見られれば、PERは30倍40倍、ときには100倍以上になることもあります。
それは、この4年間の間かもしれないし、そのあとの期間かもしれません。そのような、株価数倍のチャンスがあるわけです。
そのようなチャンスを逃さないためには、割安株と同じPER10倍では買えない可能性もあるため、成長株はPER20~30倍台が買い時といえます。
それでは、成長株の方は『3415 TOKYO BASE』を見てみます。
3415 TOKYO BASE
チャートを見ると、株価500円近辺では買われていて底堅い印象です。
これだけの成長株ですから、500円では買いたい人が多いのでしょう。
これを元に、今後『売上高1,000憶円』『営業利益率10%』を達成したとして、今の利益率で考えます。
そうすると、そのときの純利益は『66.5憶円』になり、一株当たりの利益は『141円』になります。
そうなると、『PER25倍』で、一株あたり利益が『141円』なら、株価3525円になりますし、『PER30倍』で一株あたり利益が『141円』なら株価4,230円も考えられそうです。
つまり、将来的に考えると、売上高1,000憶円を達成したときには、今現在の株価500円近辺で買っていくことで、株価9倍ほどは目指せそうな銘柄と言えます。もちろん、その先も成長することで、さらに上の株価も期待できるわけです。
例えば、同業種のセレクトショップ経営に、『7606 ユナイテッドアローズ』があります。ユナイテッドアローズは2012年に売上高1,000憶円を達成していて、その後、今期は1,500億円も達成しています。この辺りをベンチマーク(比較に用いる指標)として、今後の株価の可能性をみることが出来るわけです。
懸念材料としては、直近の決算資料で、業績予想を下方修正しています。ここ最近の株価下落は、この影響があったのでしょう。やや、成長力の伸びが弱まった印象があります。
予想純利益が『13.87憶円』から『8億9,700万円』になっています。このことについては、ZOZOTOWN向けの低価格帯オリジナル商品の不振など、いくつか要因が説明されています。気になるところとしては、その改善策が、「選択と集中を行い改善中」になっているところですかね。(汗)
具体的な施策がでていないところは、気になるところではあります。
今後の課題のひとつとしては、直営ECの比率を高めていくことが出来れば、利益もあがっていくはずです。今後も成長に期待できる企業に変わりはありません。
表にまとめると次のとおりです。
3415 TOKYO BASE(2018年11月20日の分析)
備考 | ||
---|---|---|
株価 | 676円 | 『500円近辺』は底堅そう |
PER(予) | 〇 | 35.52倍(下方修正込み) |
業績推移 | ◎ | 増益が続いている |
ROE | ◎ | 33.35% |
ROA | ◎ | 17.74% |
自己資本比率 | ◎ | 53.8% |
成長性 | 〇 | 一時停滞する可能性あり
(下方修正) |
総合的にみると、成長株としては良さそうな銘柄です。今後の売上のようすを見ながら、株価が500近辺になったら、買うのも良さそうですし、今の水準から、少しづつ買い下がっていくのも、良さそうです。
その辺りは、資金量次第になります。
さて、ここでは『バリュー(割安)株投資』と『グロース(成長)株投資』におけるPERの使い方について説明してみました。
基本的には、PERはこのような使い分けをしています。
他にも、PERの使い方には、同業種の他の銘柄と比べたり、過去のPERの推移と比べたりする使い方もありますが、ここでは、長くなるため、割愛させていただきます。
PBRとは
PBRとは、企業の資産に対して今の株価が割安なのか、割高なのかがわかる指標になります。日本語だと、『株価純資産倍率』といいます。
PBR=株価純資産倍率
PBRの意味
PBRは「1倍、2倍」と表します。これは小さいほど割安になり、1倍以下は0.6倍や0.4倍などと表します。
その意味は、PBRが1倍であれば、今の株価はその会社の純資産と同等の価値があります。という意味になります。
会社は解散すると、株主はその会社の純資産を株の持ち分に応じて分け与えられる権利があります。そのため、PBR1倍のときに会社が解散すると、もし株主が時価100万円分の株を持っている場合、100万円が戻ってくるということになります。
つまり、PBRが1倍以下の場合、もし今すぐに企業が解散しても、株を買った分のお金は戻ってくるため、投資のリスクはないといえます。
PBRの算出の仕方
PBRの算出の仕方は、2通りあります。以下の2つの計算式で求められます。
① 株価÷BPS(一株あたり純資産)
② 時価総額÷純資産
純資産とは、企業の資産の総額から負債の額を引いた金額のことで、企業の『自己資本』とほぼ同じ額になります。他に『株主資本』とも言いますが、こちらも、ほぼ同額になります。細かい違いはありますが、ここでは、あまり気にしなくても大丈夫です。
1つ目の計算式は以下のとおりです。
PBR=株価÷BPS(一株あたり純資産)
BPSとは、『一株あたりの純資産』のことで、『純資産÷発行済み株式数』で求めます。
例えば、純資産が1000万円で、発行済み株式数が10万株だとすると、BPS(一株あたりの純資産)は100円になります。
計算式 1000万÷10万=100(円) BPS=100円
このBPSを元に、株価が100円の銘柄のPBRを計算すると、PBRは1倍になるわけです。
計算式 100円÷100円=1(倍) PBR=1倍
以上が、1つ目のPBRの算出方法になります。
2つ目のPBRの計算式は以下のとおりです。
PBR=時価総額÷純資産
時価総額は、PERのときと同じで繰り返しになりますが、『株価×株の発行済株式数』で求めます。
例えば、先ほどの例と同じく株価100円で、株の発行済みの株式数が10万枚だとすると、時価総額は1,000万円になります。
計算式 100円×10万枚=1000(万円) 時価総額=1000万円
この時価総額を元に、純資産が1,000万円の銘柄のPBRを計算すると、PBRは同じく1倍になるわけです。
計算式 1,000万円÷1,000万円=1(倍) PBR=1倍
以上、2つのPBRの算出方法でした。
PBRの目安は1〜2倍
PBRの目安は1倍になります。先述のとおり、PBR1倍のときに会社が解散すると、株主は同等の資産を受け取ることができます。そのため、PBR1倍を目安に、それよりも大きければ割高でそれ以下であれば、割安になります。
また、日経平均のPBRは2018年現在では、1.2倍前後で推移していて、ここ数年は0.8~1.5倍近辺で推移しています。
そのため、PBRの目安としては1〜2倍を目安としてもいいでしょう。
しかし、これはあくまで、目安になります。昨今、PBRは比較的高めで推移することが多くなって来ました。
そのため、あまりPERほど気にしなくても良いといえます。
PBRの傾向は
PBRの傾向としては、事業を成長させるために研究開発が必要な業種である『医薬品業界』や、システムへの投資が必要な『情報・通信業』などはPBRが高くなる傾向があります。
また、企業の創業期のPBRは、高くなりやすいです。なぜなら、創業期は自己資本が少ないことと、業績では増益率が高いため、株が買われやすいのです。そのため、PBRは高いまま推移しがちです。
そのようなこともあり、繰り返しになりますが、PBR自体はあまり気にしなくても良いといえます。特に成長株を買う場合は、成長株のため買われていることから、PBRは高目で推移するのは当たり前と言えます。
先述のとおり、PBR1倍の場合、解散すれば、同等の資産を受け取ることができるため、リスクがほぼないといえます。しかし、別に投資した企業がすぐに解散するわけでもありません。そのため、PBRはPERほど、気にする必要はないといえます。
PBRの使い方
PBRの使い方としては、主に『バリュー(割安)株に投資』する場合に使います。
先述のとおり、PBRは1倍以下なら割安で、「今会社が解散しても、投資金額は回収できるからいいかな」と思うくらいで、成長株への投資の場合は、PBRはそれほど気にする必要はありません。
例えば、PBRが1倍以下であれば割安なので、1倍以下のときに株を買って、PBRが1倍を超えてきたら売るという使い方になります。
先ほど、解説した『7940 ウェーブロックホールディングス』を見てみます。
PBRは、『0.73倍』でした。そのため、この銘柄はPBRから見ても『割安』と言えます。
業績や成長性はPERの時と同じ分析になります。
PERと同様に、PBRだけを見るのではなく、業績や成長率を併せてチェックする必要があります。PBRが低すぎる銘柄の中には、何かしらの悪いところがあるからこそ、低くなりすぎていることが多いわけです。
例えば、赤字だったり財務状態が悪かったりする銘柄がそれにあたります。
ただし、株式市場が低迷しているときには、業績が良く、将来の業績も期待できる株が、需給の悪化だけで、株価が下がることがあります。
その場合、PBRが低くなりすぎるときがあります。そのようなときは絶好の買い場であり、長期投資をするのであれば、そのようなときには、目を付けていた株をたくさん買いたいものです。
PBRが低い時はROEもチェックする
PBRが低い時は、ROEもチェックすると良いでしょう。なぜなら、ROEが高ければ、稼いでいることがわかりますし、PBRが低いときにPOEが高いことは、PERが低いことにつながります。
なぜなら、
PBRは『ROE×PER』で表すことが出来ます。
計算式 PBR=ROE×PER
そのため、PBRが低いということは、『ROE』や『PER』も低い可能性があるわけです。ROEが低い企業は、利益が少ないため、PBRが低いのは当たり前といえます。しかし、ROEが高いのに、PBRも低いということは、この計算式から、PERも低いことになります。つまり、稼いでいるのに割安なことがわかります。
ですから、PBRが低い銘柄はまずは、ROEをチェックすると良いでしょう。
ただし、このような銘柄は今は利益を出せているけど、成長性が低いのかもしれません。また、財務状態が悪いのかもしれません。そこで、成長性や、自己資本比率もチェックして、問題なければ、この銘柄は稼いでいるのに割安だと判断できるわけです。
株を買う時の注意点
ここまで、PERとPBRの使い方の解説をしてきました。
株を割高で買わないために、PERやPBRを使うわけですが、実際に株を買うときの、さらなる注意点としては、『資金に余裕を持たせて買っていく』ことになります。
株の長期投資では、『資金管理が重要』です。
いきなり、全部の資金を使って買いたい株を買ってしまってはいけません。なぜなら、いくらPERが割安で買い時だと判断しても、そこから、さらに株価は半値になるかもしれません。
もし、業績も成長性も財務状態も問題のない銘柄を、割安だと判断したときから、さらに株価が半値になった場合、そこは絶好の買い場の可能性が高いです。
その場合、最初に株を買った時に、資金を全てつぎ込んでしまっていては、絶好の買い場で株を買えないわけです。そのようなことにならないためにも、資金に余裕を持たせて、少しづつ株を買っていくことが重要になります。
もちろん、株価はそこまで下がることはなく、上がっていくかもしれません。そのため、どこかの水準で株は買っておいたほうが良いわけです。その水準がこのページでお伝えした水準というわけです。
株が、どこで下げ止まるのかは誰にもわかりません。ですから、もしそこから、株価が半値になったとしたら、もっと買い増すくらいの気持ちで、資金に余裕を持たせて株を買いましょう。
まとめ
このページでは、株を割高なときに買わないためには、PERやPBRをチェックして、業績や成長性や財務状況もチェックして、総合的にみて割安なときに株を買っていくことについて、お伝えしました。
以下、表にしてまとめます。
PER(株価収益率) | PBR(株価純資産倍率) | |
---|---|---|
表し方 | 10倍、20倍 | 0.6倍、1倍、2.5倍 |
意味 | 今の株価が今期の利益の〇倍まで買われている | PBRが1倍のとき、今の株価はその会社の純資産と同等の価値がある |
算出の仕方 | ① 株価÷EPS(一株あたり純利益) ②時価総額÷純利益 |
① 株価÷BPS(一株あたり純資産) ② 時価総額÷純資産 |
目安 | 割安株、10倍以下 成長株、20~30倍台以下 |
割安株、1~2倍以下 成長株、気にしなくても良い |
傾向 | 業種により異なる
成長性のある株は割高に推移 ディフェンシブな銘柄は割安 生活必需品を扱う企業は高め |
業種により異なる
成長性のある株は割高に推移 創業期には高めで推移 研究開発やシステム開発が必要な企業は高め |
PERやPBRを使って、割高ではないことを確認しつつ、業績や成長性、財務状況をチェックしていきます。その銘柄が問題なさそうでしたら、株を買っていきます。
その際は、資金管理に注意して、資金全てを投入してはいけません。さらに株価が半値になったら、そこでも株を買えるように、資金を管理していってください。