株式投資を始めようと準備をするときに、「資金をいくら用意すれば良いのだろう?」と考えるはずです。そのとき株式投資初心者は、「株式投資ってお金がかかりそう」などと考える人もいるのではないでしょうか? しかし、株式投資は少ない資金でも始めることができます。
このページでは、株式投資を始めるときの資金額をいくらにしたらよいのかについて解説します。それをふまえて、あなたの資金額(元手)を決める参考にしてください。
株価と投資金額の違い
まず、株を買うときにいくらで買えるのかを知るために、株価と投資金額の説明をします。株式につけられた価格を「株価」といいます。
株価が安い株を「低位株(ていいかぶ)」、高い株を「値嵩株(ねがさかぶ)」といいます。低位株には1万円以下で買える株があります。そして、値嵩株には100万円以上する株があります。このとき、株価がそのまま株を買う金額になるわけではありません。
例えば、株価120円のA株があります。このA株は120円を払えば買えるわけではありません。各株ごとに異なる最小単位があり、このことを「単元株」といいます。そして、単元株の数だけ買う必要があるのです。
例えば、上記のA株の最小単位(単元株)が1,000株の場合は、「1,000株×120円=120,000円」となります。A株については、株価は120円のとき、買うために必要な最低の投資金額が120,000円となります。
株はいくらから買えるのか
先述のとおり、低位株であれば株は1万円以下から買えます。それでは上場(誰でも会社の株を売買できるように世の中に公開すること)している3,900社の中から1万円以下で買える株は何社あるでしょうか。答えは47社です。それでは、10万円以下だと何社あるでしょうか? 答えは1458社です。
資金1万円から株式投資を始めるとなると、株を買える会社は47社しかないので選択肢が少なすぎます。
一方で資金10万円からなら、1458社ですからそれなりに選択肢があることがわかります。
目標金額から最初の資金を設定する
それでは、株式投資で「増やしたいお金の目標金額」から最初の資金を考えてみます。1億円まで増やすことを目標にしているのに、最初の自己資金が1万円であると、元手の1万円を1万倍にしなければなりません。
株式投資では100倍にすることでさえ、とても大変なことです。特に株式投資初心者が1万倍にするのは無謀といえます。そのため、株式投資に充てる資金(元手)は、あなたが増やしたいと考える目標金額から逆算することで調整すると良いでしょう。
例えば、資金10万円から始めて、50万円に増やしたとします。株式投資で資金を5倍に増やせるのはすごいことです。なぜなら、5倍に増やすまでに、株式市場が急落(急速に大きく下がること)や暴落(急落よりもさらに急激に大きく下がること)することがあり、なかなかそこまでは増やせないからです。
資金を5倍まで増やせたのなら、株式投資に慣れたり、スキルが上がったりした証拠と言いえます。このときの、資金が50万円に増えたところで、もう50万円を足して資金100万円にするのもいいでしょう。
下の図は、元手の資金を目標金額にするには、何倍にすればよいのかがわかる図です。
例えば、元手50万円で目標5000万円まで増やすには、100倍にすればよいことがわかります。
そして、さらに下の図は年利5%と10%と15%で、目標の◯倍にするまでにかかる年数がわかる図です。
例えば、先ほどの100倍にすればよいことがわかったところで、100倍にするには年利10%で49年、年利15%で33年かかる計算です。ただ、最初の資金が30〜50万で最終目標を1億円にするのは不可能とはいえませんが、正直厳しいです。
これで、目標金額にするにはいくらの元手で、年利何%を目標にすればよいのか、なんとなくイメージしていただけたらと思います。
株式投資初心者は利益を出してもそれ以上に損をする
株式投資の初心者のうちはまず利益はあげられません。例えば、私は1999年に株式投資を始めて3年間で元手100万円を30万円まで減らしました。
その後、2003〜2006年は株式投資の勉強会に参加していました。その勉強会の参加者30名ほどに話を聞いたのです。みなさん株式投資の経験者でしたが、「初心者のうちは損をした」と言っていました。
しかし、勉強会の甲斐があってか、みなさん最初は損をしたとしても経験を積むうちに株式投資で利益を上げていました。
このときは勉強会に熱心に参加していた10数名ほどで、運用結果の報告や情報共有をしていました。その中のほとんどの人が、株式投資で年利10〜50%を達成しました。元手は100〜300万円が多く、参加者の7割が会社員でした。残り2割が定年退職された方で、1割は経営者でした。
私は、2003年からは元手50万円を月利6%目標で運用をはじめました。そして、目標の利益6%を達成したら、そのときに5万円を足すということをしていたのです。最初のうちは元手が少なく、できるだけ早いうちに資金を500万円まで増やしたかったためです。
結果は、2003年の終わりには資金3,268,180円となりました。年間利益は1,832,550円です。
前述のとおり、利益6%達成したところで5万円を足していました。そのため、元手の500,000円は年の終わりまでに900,000円加わり1,400,000円となりました。このことから、「利益1,832,550円/元手1,400,000×100%=130.89」となり、実質年利は130.8%でした。
そして、2004年は年利45.6%、2005年は172.58%、2006年は-30%となり、平均年利は79.7%でした。
株式投資初心者のうちは損をする可能性が高いです。しかし、勉強をすれば会社員であっても仕事をしながら年利10〜50%は達成できるはずです。
株式投資は余裕資金で始めよう
次に、余裕資金という面から株式投資を考えます。株式投資はあなたが想定している以上の損失を出すことがあるのです。例えば、古くは1929年暗黒の木曜日、1987年ブラックマンデーがありました。さらに、2000年ITバブル(経済が実態以上に泡のようにふくらんだ状態)の崩壊、2008年リーマンショックなどと呼ばれる大暴落(パニックにより急激に大きく下がること)がありました。
私自身は、2000年のITバブルの崩壊と、2008年のリーマンショックは経験しています。1999年から元手100万円で株式投資を始めて、2000年までに200万円程度まで増やしました。しかし、先述のとおりその後のITバブルの崩壊で資金は30万円まで減りました。最初の利益はビギナーズラック(初心者が持っているとされる幸運)といえるでしょう。
2008年のリーマンショックでは、信用取引の売り建てで2,162,223円の利益を上げました。信用取引は株式投資の初心者では証券会社がやらせてくれない難しい取引です。
普通の株の取引は値が上がると利益が出ます。例えば100円で株を買い、株価120円まで上がったところで売れば、20円の儲けです。
しかし、それとは逆に売り建ては値が下がると利益が出るのです。細かい説明は省きますが、株価の大きな下落を狙って利益を得たわけです。
ここは経験の差があったといえます。株式投資初心者の方も諦めずに経験を積めば、利益を出すことが出来るようになるでしょう。
経験の少ない初心者のうちは1〜2年の間に大損する可能性が高いです。そのため、余裕資金でやらなければなりません。例えば、300万円から500万円の預貯金があったら、そのうちの100万円で始めるという具合です。預貯金が100万円なら、50万円から株式投資を始めて、月々いくらか積み立てるというのも良いでしょう。
資金がないのなら、まずは資金を貯めることから始めてください。借金をして投資をしてはいけません。借金をして損をしたら、借金がそのまま残ることになるからです。借金が残ったら、返済できる確率は低いです。株式投資の資金も貯められない人が、借金を返せる確率は低いからです。
まとめ
最初の株式投資の資金(元手)は、必ず余裕資金でおこなってください。株式投資初心者のうちは利益を上げることができても、ビギナーズラックであることが多いです。また、最終的にはほとんどの株式投資初心者は損をしてしまいます。
まずは、1〜2年と株式投資を経験して着実に利益を上げられるようになってください。そして、利益を上げられるようになったら、平均年利5〜20%を目指して運用すると良いでしょう。プロが株を運用する「ファンド」でさえ、平均年利は20数%ほどです。
目標年利はだいたいで大丈夫です。株式投資は利益を上げたり損をしたりしながら右肩上がりに増えていくものだからです。
そして、ご自身の株式投資の平均年利がわかったところで、増やしたい目標金額に合わせて資金額を調整するといいでしょう。