ゆったりと安全に長期投資をしたいと考える株式投資初心者の方はいるはずです。長期投資で比較的安全な方法は割安株投資(バリュー株投資)です。
割安株投資は、株式市場に割安に放置されている株を見つけてその株を買います。そして、その株が適正価格かそれ以上の価格になり利益が出たところで売ります。
割安株を見つけるには基準が必要になります。その基準はPERやPBRという基本的な指標で計ることが出来ます。
このページでは、割安株に投資するための指標であるPERとPBRについて解説します。割安株を見つけて比較的安全な長期保有を出来るようになりましょう。
PER(株価収益率)とは利益と株価の関係から割高割安をみる
PER(株価収益率)とは、企業の利益と株価から導き出される数値です。単位は倍で表します。株はこのPERの数値が高ければ高いほど割高で、低ければ低いほど割安と見ることができます。PERは利益と株価の関係の指標であることから、「この利益でこの株価は割安だ」という具合にみます。
例えば、「同業種の他の銘柄と比べて、PERが低いからこの銘柄は割安だ」とか、株式市場全体を見渡して、「PER10倍以下は割安だ」などと判断に使います。
計算方法は、「株価÷1株利益」で求められます。または、「時価総額÷純利益」でも、求められます。要は「今の株価は今年1年の純利益の何倍か?」ということになります。
例えば、株価が1000円で1株あたりの利益が100円だとします。その場合、「1000円÷100円=10」になり、PERは10倍というわけです。図で表すと以下のとおりです。
このように、PERが10倍ですと今の株価は10年分の純利益を反映していると言えます。つまり、この会社に投資すると10年の分利益で投資金額を回収できることになります。
東証1部(日本の大企業が集まっている株式市場)では、PER15倍ほどの数値が適正価格になっています。つまり15年分の利益が株価に反映されていれば、ちょうど良い株価だと判断されているわけです。
その様な中、業種や株式市場の種類によってはPERは40倍や時には200倍になっている場合もあります。しかし、一概にPERが40倍だからと言って、単純に割高なわけではありません。
例えば、PER100倍の銘柄は今後の業績が期待されていて株価が高くなっているわけです。そこで、今年の純利益が昨年よりも2倍に増えたとします。そうなるとPERは100倍から50倍になります。さらに来年の純利益も倍に増えるとなれば、PERは25倍になります。
それほど、割高ではなくなってきたと感じるのではないでしょうか? 株価は未来の業績を織り込んでいるわけです。
このように、PERの判断で今の株価は割高かもしれないけど、会社の純利益が上がることでだんだんと適正水準になるわけです。
つまり、会社の純利益が上がることでPERは下がり、株価が下がることでもPERは下がることになります。
前者の場合は、今後の業績がさらに上がらなければ、PERは割安にはなりません。そのため、割安株投資にはあてはまらずに、成長株投資(グロース株投資)になります。
後者は株価が下がって安く買えます。そのため、割安株投資向きの銘柄になるわけです。割安株投資では、このようなに市場に割安に放置されていて、今後適正水準に戻った時に利益があげられる銘柄を長期保有することになります。
PBR(株価純資産倍率)とは資産と株価の関係から割高割安をみる
PBR(株価純資産倍率)とは企業の資産と株価から導かれる数値です。単位は倍で表します。株はこのPBRが高ければ高いほど割高で、低ければ低いほど割安といえます。PBRは純資産と株価の関係の指標であることから、「これだけの資産があるのにこの株価は割安だ」などという具合にみます。
例えば、「PBR1倍だからこの会社の資産から考えると妥当な株価だな」とか「PRB0.6倍だから資産から考えるとこの株価は割安だ」と、いう具合です。
計算方法は、「株価÷1株株主資本」で求められます。(株主資本と純資産はほぼ同じです。)
例えば、株価が1000円で1株あたりの株主資本が1000円だとします。その場合「1000円÷1000円=1」になり、PBRは1倍になります。図で表すと以下のとおりです。
このように、PBR1倍ですと株価と1株あたりの株主資本が同じという意味です。株主資本と純資産は明確な違いはありますが、ほぼ同じになります。
ですから、会社の持っている資産と株価は同じ程度ということになります。そのため、PBR1倍は適正な価格と言えるわけです。
もし、会社がこのPBR1倍の状態で解散したとします。その場合、会社が持っている株主資本(ほぼ純資産)を株主で分け合うことになります。そこで、株主は1株あたり1000円もらえることになります。
100株持っているとすれば、「1000円×100株=100000」で、10万円もらえるわけです。株を今の株価1000円で100株買っていたとすれば10万円です。このことから、PBR1倍で株を買っても損はしないと言えるはずです。
では、もし1株あたりの株主資本が1000円で株価が500円だとします。この場合、PBRは0.5倍になります。
先ほどと同じように、この会社の株を100株持っているとします。その場合、この会社が解散するとやはり10万円もらえます。しかし、株価は500円です。そのため、株は「500円×100株=50000」で、5万円で買えるわけです。
つまり、5万円で株を買って会社が解散すれば10万円分けてもらえることになります。これが、PBR0.5倍の意味です。このように、PBR1倍以下の株は買った金額以上の資産価値があるから割安なわけです。
まとめ
PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)の解説をしました。この二つとも、株価の割高割安をみる指標です。しかし、意味合いは全く違います。
それぞれの意味をしっかりと理解してください。そして、気になる会社の業績や財務状態をみてすぐに今の株価は割安なのか、割高なのかを判断できるようになりましょう。
PER、PBR共に割安な銘柄はなかなか見つからないものです。見つかったとしても、今後の業績が悪いなどどこかに落とし穴があるでしょう。そのため、PERとPBRだけをみて、株の長期保有の判断をしてはなりません。
しかし、もし割安な銘柄を見つけて、さらに今後の業績の見通しも明るいとしたら長期保有のチャンスです。
割安な株価は長期的に適正価格になる可能性が高いです。さらに、株価が割安な上に配当金も出る会社であれば、長期保有することで配当金ももらえます。
PER、PBRをしっかりと理解して、ゆったりと比較的安全な割安株の長期保有に役立ててください。