現在は低金利の時代です。お金を銀行口座に入れておいても、すずめの涙ほどしか金利がつきません。そのため、なかなかお金が増えません。
そうなると、老後の資金に不安が出てくる方もいるのではないでしょうか?
老後の資金に不安がある人は、なんとかお金を増やそうと考えます。その方法のひとつに、株式投資があります。なぜなら、お金が増えない低金利の時代でもお金を増やせる可能性があるのが、株式投資だからです。
このとき、株式投資に興味を持った初心者は、「株式投資は預貯金と比べて、どのくらいお金が増えるのだろう?」と考える人がいるはずです。
そこでこのページでは、銀行に預金した場合の増え方と、株式投資をした場合のお金の増え方をより詳しく説明しています。
老後を定義する
老後のお金に不安のある方は「老後までにいくらお金を貯めると良いのだろうか?」と、考える人は多いはずです。その答えを出すために、老後とは何歳から何歳までかを定義しなければいけません。
これにより「老後までにいくら貯めなければいけないか」の答えが大きく変わってくるからです。
老後とはいつからのことを指すのかについて明確な答えはありません。したがって、当サイトでは国民年金が受給できるようになる65歳を老後の始まりと定義しておきます。
では、老後の終わりは何歳でしょうか。厚生労働省の発表している日本人の平均寿命が、男性約81歳、女性約87歳です。ここは少し多めにとって90歳としておきます。日本人の平均寿命は年々延びているからです。これにより、ここでは老後を65歳から90歳までの25年間と定義します。
老後までに貯めておきたい金額は
さて、老後は25年間と定義した場合、次に夫婦で老後までに貯めておきたい金額を考えてみます。このとき必要な金額は、夫婦が25年間に消費する金額から、年金を引いた金額となります。
まずは、夫婦が老後の25年間で消費する金額を具体的に計算します。
総務省の家計調査によると、60歳以上で無職の夫婦世帯の家計1ヶ月の支出額は約24万円でした。それにより、1年間の支出は24万円×12ヶ月で、288万円となります。それが25年間続くため、288万円×25年間で7,200万円です。
さらに、家の修繕費や医療費など、緊急にかかる予備費として、1,500万円かかります。このことから、7,200万円+1,500万円で、8,700万円が老後25年間の生活に必要なお金とわかります。
次に年金額を考えます。
ここでは、一般的な会社員のケースとして、受け取る年金を夫は厚生年金、妻は国民年金とします。この場合の平均年金受給額は、夫は14万円、妻は5万円です。つまり夫婦合計で月々19万円の年金を受取ることになります。夫婦が25年間で受け取る年金は25年×12ヶ月×19万円で、5,700万円となります。
先ほどの消費金額8,700万円から受給年金5,700万円を引くと3,000万円になります。この3,000万円が夫婦二人で老後までに貯めておきたい金額となります。
ここまでの説明で、老後までに貯めておきたい金額が3,000万円とわかりました。次から、どのようにお金を増やしていくと、3,000万円貯めることが出来るのか。預貯金と株式投資の増え方を比べてみます。
高金利時代(金利5%)のお金の増え方
金利が年利5%以上ある高金利の時代なら、銀行にお金を入れておくだけでお金は増えます。例えば、元金として銀行に100万円を預けます。さらに、月々5万円を家で積み立てます。月々積み立てた5万円を1年後60万円となったところで口座に入金します。この条件で年利5%の場合のお金の増え方を具体的にみていきましょう。
元金100万円は、1年後金利5%がついて105万円になります。ここで、1年分の積立金60万円を入金します。銀行口座は165万円となりました。このまま続けていくと、10年後にはいくらになるでしょうか。答えは9,175,629円です。増え方は下の図の通りです。
さらに、3,000万円貯まるのに何年かかるか計算します。答えは25年です。これだと、40歳からでも預貯金100万円と月々5万円を積み立てるだけで、老後までに3,000万円をたくわえられる計算となります。「金利5%の時代なら、老後の資金を貯められそう」と、思うのではないでしょうか。
低金利時代(金利0.5%)のお金の増え方
次に低金利時代のお金の増え方です。ここでは、条件は同じく元金100万円として、毎月5万円を積み立てた場合です。年利は0.5%とします。
具体的にみていきます。元金100万円は1年後金利0.5%がついて、1,005,000円となります。ここで、毎月5万円積み立てた60万円を入金します。銀行口座は1,605,000円となりました。これを10年繰り返すと10年後には7,187,953円となります。老後までに貯めておきたい3,000万円になるには44年かかります。このときの預貯金の推移は以下のとおりです。
これでは、21歳から元金100万円で毎月5万円の積み立てを始めなければ、老後までに3,000万円はたまりません。さらに、年利5%の高金利の時代と比べますと、10年後に1,987,676円と約200万円もの差があります。しかも、3,000万円貯まるまでの期間も19年の差があります。このことから、低金利の時代はお金を増やすことが難しいことがわかります。
株式投資で年利10%運用した場合のお金の増え方
それでは、条件は預貯金の場合と同じで、株式投資で利回り(投資した資金に対する利益の割合を表す数値)10%で運用した場合をみていきます。
元金100万円は1年後110万円となります。ここで、毎月5万円を積み立た60万円を入金します。これで、口座に170万円となりました。さらに10年後は11,556,195円となります。10年後の時点で高金利時代の年利5%の場合と比べると、差は2,980,566円です。この方法であれば、3000万円ためるのに18年しかかかりません。
いかがでしょうか? 18年なら、30代や40代後半からでも、老後までに3,000万円を貯められる計算になります。年利10%は預貯金の金利では考えられません。株式投資の運用なら可能性は十分にあります。
まとめ
一般的な会社員の場合、老後までに貯めておくと良い資金は先述のとおり3,000万円です。低金利の時代に、老後の65歳までに3,000万円をためるには、元金100万円で月々5万円を積み立てても44年かかります。これでは正直厳しいです。
少なくとも金利5%以上あれば、25年以内で貯まります。これなら、40代からでも大丈夫です。ですから、株式投資で最低でも年利5%以上で運用すれば、老後の資金はたまるでしょう。
株式投資には損をするリスクもあります。しかし、正しいやり方を覚えると、利益5%ほどなら1週間〜2週間で出せることもあるのが株式投資です。
また、株価が上がり続ける時期のことを「上昇相場」と言います。上昇相場なら、資金が一気に2倍〜10倍になることもあります。預貯金の金利では考えられないことです。ですから、お金の増えない低金利時代に株式投資の可能性にかけて、チャレンジするのも良い選択です。