株の売買をするときに、株を買いたいときは株を売る人がいることで株を買うことができます。逆に株を売りたいときは、株を買う人がいることで、株を売ることができるわけです。
つまり、株を売買したい場合は、株を買いたい人や売りたい人がどのくらいいるのかを、知る必要があるわけです。
売買したい株に、どのくらいの買い注文や売り注文が入っているのかは、板情報で知ることができます。
このページでは板情報の見方を解説すると共に、板情報を見る上での注意事項をお伝えします。板情報の特徴を知ることで株式の売買に役立ててください。
板情報から注文数を知る
板情報とは、各証券会社から集まってくる、株を売りたい人と買いたい人の注文数を表示させたものです。
板情報を見ることで、株の売買をするときに、自分の売り買いしたい銘柄(株式市場で売買できる会社の名前)の売り買いしたい枚数だけ、約定(注文が成立)させることができるのかをリアルタイムで確認できます。
例えば、会社Aの株式を買いたいA、B、C、D、E氏がいたとします。さらに、会社Aの株式を売りたいF、G、H、I、J氏がいたとします。
これらの会社Aの株式を売り買いしたい人たちの注文が、以下のとおりだとします。
買いたい人達
A氏「1500円で100株買いたい」
B氏「1500円で1000株買いたい」
C氏「1510円で200株買いたい」
D氏「1520円で500株買いたい」
E氏「1505円で200株買いたい」
売りたい人達
F氏「1550円で100株売りたい」
G氏「1560円で200株売りたい」
H氏「1600円で1000株売りたい」
I氏「1590円で200株売りたい」
J氏「1530円で300株売りたい」
この会社Aの板情報を見ると、次の図のように表示されます。
このように板情報が表示されます。このときに、あなたが会社Aの株を買いたいと考えているとします。その場合は、1530円で300株の売りが出ていることから、1530円で300株までなら、今すぐ買えるというわけです。
また、1525円で200株を買いたいとします。そこで、1525円で200株の買い注文を出します。するとすぐに、「1525,200」と表示されます。そして、以下の図のようになるわけです。
このような板情報は、証券会社が提供しています。板情報を見ることで、あなたが売買したい銘柄を売買したい分だけ注文が出ているのかを、知ることができます。
板情報にある記号の意味
板情報には「前」や「S」など、1文字だけで表示されている記号があります。はじめて板情報を見る人には、よくわからない記号もあるでしょう。そこで、板情報に表示される記号の意味を解説します。
板情報の記号には主に次の5つがあります。
・特:特別気配
・注:注意気配
・寄(前):寄前気配
・S:ストップ高安
・連:連続約定気配
これらを詳しく見ていきましょう。
特別気配(特)
売りと買いのどちらか片方に、大量の注文が出た場合に、この注文に対する注文を求めるためにする処置です。
例えば、売り買いともに100株ほどずつしか注文が出ていないところに、10000株の買いの注文を出すとします。
そのようなときに、「10000株の買いが入りました。しかし、売り注文が少なくて、なかなか約定できません。どなたか売りの注文を出していただくことは可能でしょうか?」と、このような意味合いです。図で表すと下の図のようなときとなります。
この図の場合は、1530円の売りに30000株の量が多い注文が入ったところです。
注意気配(注)
注意気配は、注文により値幅が一気に飛んでしまう可能性があるときに、それを防ぐための処置となります。
これは、注文が少なくて売買がなかなか成り立たないような銘柄に起きます。そのような銘柄の板は、売り注文の値段と買い注文の値段の間がスカスカで空いている傾向があります。
ここに売買の注文を入れると、空いている値幅の部分を株価が一気に飛んでしまう可能性があるというわけです。
例えば、1428円の売り注文が買われて、株の現在値が1428円になりました。次の売り注文は1520円となっており、間が空きすぎています。ここに1520円の買い注文を入れると、注意気配になるわけです。図で表すと下のとおりです。
寄前気配(寄、前)
寄付き前の、まだ株の値段が付いていないときに表示される気配です。寄付きとは、株の売りと買いの値段がだんだんと近づいてきて、同じ値段になることで売買が成立することを指します。
寄前気配は、主に市場が開く前に表示されます。1日の取引の前半である前場(9:00〜11:30)や、取引の後半である後場(12:30〜15:00)のはじまる前に表示されるわけです。図で表すと、下のようになります。
寄前気配は、板が寄付くまで表示されます。そのため、寄り付いていない銘柄は、市場が開いた後にも、そのまま寄前気配の表示がされるわけです。注文が少なく1日の出来高(売買された数)が少ない銘柄によくあります。
ストップ高、ストップ安(S)
株の1日の取引で、値段の上限と下限は決まっています。その上限の値段をストップ高、下限の値段をストップ安といいます。ストップ高安の値がつくと、Sの表示が出ます。ストップ高のときの例えを図で表すと、下の図のとおりです。
株の1日の値幅の上限と下限は株価によって異なります。株価ごとに値幅制限が決まっているわけです。それにより、前日の株価から当日の株価の上限と下限がわかります。
例えば、前日の終値が120円の場合は、値幅制限は50円になります。したがって、前日120円の銘柄の当日の値幅制限は、上限が170円で下限が70円になるわけです。
1日の値幅制限を表にしました。以下のとおりです。
なお、値幅制限は変更になるときがあります。それは、3営業日連続でストップ高やストップ安が続いたときで、3営業日ともに出来高が0のときです。この場合、翌営業日から、値幅制限は2倍に拡大されます。
2倍に拡大されるのは、連続ストップ高のときならば上限のみで、連続ストップ安のときならば、下限のみとなります。
例えば、前日120円の銘柄がありました。1日目でストップ高となり、終日値がつかないで170円で取引を終えました。2日目も、ストップ高となり、終日値がつかないで、220円で取引を終えました。
3日目は2日目で220円で取引を終えたことから、値幅制限は80円です。3日目もストップ高となり、終日値がつかないで、300円で取引を終えました。
このような場合、4日目は取引制限は上限のみ2倍に拡大されます。3日目の取引が300円で終了していることから、値幅制限は80の2倍で160円となります。4日目のストップ高は460円となるわけです。
連続約定気配(連)
連続約定気配は注意気配と似ていて、こちらも、値幅が一気に変動するときに表示されます。しかし、注意気配の場合は、注文がスカスカで値幅が一気に変動してしまうのに対し、連続約定気配の場合は注文はある程度出ています。
そのある程度出ている注文を、1つの注文(1分以内の注文も含む)で更新値幅の2倍を超えて、買われたり売られたりするときに、連続約定気配は表示されます。そして、更新値幅は株価により異なります。
例えば、1400円の株価の銘柄があるとします。1500円未満の株価の更新値幅は、30円と定められていることから、更新値幅の2倍は60円となります。
つまり1400円の株価の場合、1つの注文で60円動きそうなときに、表示されるわけです。1400円の株価から、1460円以上になったり1340円以下になったりしそうなときに表示されるわけです。図で表すと、下の図のようになります。
1400円の株価のときに、1000株の注文で1460円まで買われる注文が出ました。そのため、連続約定気配が表示されたわけです。
ここまで、板情報に出る記号を5種類、説明しました。「板情報に出ている記号はなんだろう?」と、考える初心者の方がいるためです。
しかし、これらの記号はなんとなく覚えている程度で問題ないといえます。これらの記号が出ても、特に株の売買に支障が出るわけでも、売買を有利に運べるわけでもないからです。
板情報は参考程度に見る
板情報を見ていると、多くの量の注文が入っている価格があります。
このような多くの注文は、値段の節目やその銘柄の壁となっている価格帯に出ることが多いです。
例えば、現在125円の株価の銘柄があるとします。この銘柄の一番近い節目は120円や130円となります。このことから、120円には多くの買い注文が入り、130円には多くの売り注文が入りやすいと言えます。図で表すと下の図のとおりです。
上の図のようなときに、121円で買い注文を出して買ったとします。その場合、120円には多くの買い注文が入っていることから、株を売りたい場合は120円ですぐに売ることができます。このことから、121円での買い注文は安心感があります。
実際に、121円で買えた後に株価は上がっていき利益が出ることもあるでしょう。しかし、それは短期的な場合に有効であると言えることから、注意が必要です。
121円で株を買った後、すぐに120円の板は売られてしまい、値が下がっていくこともあるのです。したがって、目の前の板情報は、短期的には有効かもしれないが、長い目で見た時はそれほど重要ではないと考えましょう。
なぜ、目の前の注文が多い板がすぐに無くなる可能性があるのかは、次の具体例でご理解いただけると思います。
先ほどの、例の続きだとします。121円で株を買えたあとです。120円には注文が多いことから安心感があります。図で表すと下の図の状況となります。
しかし、株価が下がってくると不安から売りたい人も増えてきます。そして、121円の売り注文が増えてくる可能性があるわけです。以下の図のような状況です。
ここで、考えてみていただきたいことがあります。もし、あなたがこの銘柄を30万株持っていたとします。120円より下は買い注文も少ないです。今のうちに売らないと自分の30万株が売れないかもしれないと考えることもあるわけです。
持ち株が1000株の場合はすぐに売れることから、大量の注文が入っていることで安心感があります。
しかし、世の中には大量に株を持っている人がいます。その人の立場から考えると、この120円の275,000株では、買い注文が少ないと感じるわけです。そのため、30万株をすぐに売りに出して、120円の板は一瞬でなくなってしまう可能性もあるのです。
このような可能性は多々あります。ですから、板情報は自分が売買したいと思っている株数だけ、注文が出ていることを確認するくらいで良いと言えます。
損切りの値段は決めておく
先述のとおり、板情報は目先の動きには有効かもしれませんが、状況はすぐに変わることがあります。もう少し長い目で見ると、板情報は役にはたたないことがご理解いただけたでしょう。
板情報に振り回されないためにも、株を買う前にいくらで売るのかを決めておきましょう。特に、損失を出す値段である「損切り」の値はあらかじめ決めておくと良いです。
損切りの値段は、あなたが買った株の値から10%下がったときに売る。とか、株価をサポートしているライン(株価には株価を支える壁となる価格がある)を割り込んだら売る。という具合です。
例えば、1000円の株を買ったあと900円を下回ったら損切りをする。とか、1010円で株を買い、1000円には板の厚いサポートがありました。この1000円を株価が割り込んだら損切りをしよう。という具合です。
あらかじめ、損切りの値段を決めておくことで、目先の板情報には振り回されなくなります。板情報は参考程度にしておきましょう。
まとめ
板情報と板に出てくる記号の見方をお伝えしました。板情報は目先の動きであることから、特に気にする必要はありません。それよりも、事前に株の売買の値を決めておき、売買のシミュレーションをしておくことが重要です。
例えば、いくらで買っていくらで利益を出す、利益が出ないときは、いくらで損切りするという具合です。このように、売買する値段を事前に決めておき、それを守ることが株の売買では重要となります。
なお、「板情報を無料で見たい」という、株式投資初心者の方がいらっしゃいます。
板情報は証券会社に口座を開いてログインすることで、無料で見られます。
板情報を見たい方は、証券会社に口座を開いてみてはいかがでしょうか?